ヒキズる日記

ずっと引きずってます。

伝えたい事は分かりやすく伝えよう。 

夜の会議室は蟹食べてる時くらいの静けさだった。もうすぐ2時を過ぎようとしている時計は殺し屋くらい几帳面にそして確実に針が進む。

松崎しげる程に暗い闇の中を壁伝いに進んでいるとコピー機の電源ランプがはじめしゃちょーのサムネイルのような緑色に点灯している。

僕が会議室に来たのは待ち合わせの為だった。

昼間仕事を図書委員くらい卒なくこなしていると一見のメールがパソコンに届いた。

社内メールかな。と思った僕は隣のクラスの煩いけどイケてない奴くらい意識せずにメールを開いた。

確認するとアドレスは会社のものではなかった。恐らく個人のスマホやPCから送られてきたようだ。文面は「夜中の2時15分第2会議室にて電気を付けず貝のように待て。」とだけ。

心臓に僅かの緊張が走った。例えるならそのー、子どもの時にシートベルトを締めていない時に警察のサイレンが聞こえるくらいの緊張だ。

自分で言うのもなんだが仕事のミスも少ないし人間関係も軽音サークルの組み立てのバンドくらいにはいい。

つまり自分に落ち度は無いが何となくのモヤモヤを解消する為に僕は夜中の会議室に赴く事にした。

それにしてもこんな遅い時間に呼びつけるなんて一体誰なのだろうか、よっぽど聞かれたくない話なのだろう。総務部の北野さんだったらなぁ。とか希望的観測を持たなければこの暗闇は耐えがたかった。

約束の15分だ。入り口からノブナガの間合いの外くらい離れた席に座る僕はドアが開くのを待った。

しかし待っても待っても来る気配はなかった。相手は調子こいた寿司屋のような奴なのだろうか。イタズラにしてはあまりにも幼稚で悪質だ。まるで〜え〜、罰ゲームの告白とは少し違って〜まあ、悪質だ。

待つのが馬鹿らしくなった僕は席を立ち仮眠室へと向かうことにした。明日も朝から仕事なのだ。

そういえばメールには電気を付けずに待つようにと書かれていた。もしかしたら僕の誕生日をすっかり間違えた会社の同僚がこの部屋にサプライズを用意しているのかもしれない。とポジティブな想像をした僕は部屋の明かりをつけて確認する事にした。

電気のスイッチを徘徊する老人のように探す。確かこの辺りに…と手探りで入り口付近を探していると。ツルリと何かに滑り転倒した。

掃除されつくしたオフィスのようなオフィスで仕事をしてきた僕は何で足を滑らせたか分からずにかなり動揺した。

悪い予兆を察した僕の臓器がきゅっと締まる。嫌な寒気に脂汗が滝のように吹き出たあと、全身の血の気は公園の石をひっくり返した時の虫の大群のようにサーッと引いた。

ズルズルと背中を壁に預けながらなんとか立ち上がる。背中越しに手で壁をまさぐっていると電気のスイッチを見つけた。

見たくないものを見る事になるかも知れなかったが僕は恐怖に負け電気のスイッチを新進気鋭のベンチャー企業のように勢いよく押した!

夜の闇になれた僕はLEDライトに目をくらませた。徐々に慣れた目を少しずつ開き視線を恐る恐る落とす。茶色・・・?

「これお願いします。部長より」

うんちだ。僕が踏んだのは部長のうんちだった。

えっ!どういう意味??