ヒキズる日記

ずっと引きずってます。

倫理観0の人間が読むと苦しくなる小説を書く西加奈子さん

小説のiを読んだ。
登場する全ての人物が優しくて苦しんでいた。
自分の死生観は近しい人物の死がなかった事もあるが、自分の想像力が乏しい事もあって、死をそれほど重大な事実と受け止めていないことにこの小説を読んで気づいた。いや、この小説を読む前から自分の死生観が狂っていることには気づいていたけれど僕は人を想えるほど優しい人間じゃなかった。

作中に出てくる死に対して主人公のアイが心を痛めるシーンを見ていても共感に欠ける事が多かったし、アイが死者の数を大学ノートに書き留めていた事も自分にとっては数字としてしか見れなかった事が虚しいし恥ずかしい。
西加奈子さんの小説は優しくて愛が溢れていて、とてもとても大好きなんだけれど今回の物語は、自分の様な醜くて無知な人間が受け取るには余りにも苦しかった。
どうしようもない劣情や痛みが世界にはある事に目を逸らし続けていた自分が今すぐ愛を持って行動する事は不可能な事だけど、そのぶん小さいながら自分を囲んでくれている人達を愛する事から少しずつ始めようと思う。
西加奈子さんみたいに優しくなれないけれど、アイが自分(世界)に目を向けた様に自分もそうなっていければなと思った。