旅行はいい。特に田舎へ行く旅行は都会の喧騒から離れられる。
別に喧騒を嫌っていた訳でも、取り立ててずーっと喧騒に揉まれていたわけでもいないけども、やっぱり旅行はいい。とにかく田舎へ行く旅行は喧騒がないから絶対にいいんだ。
クロスカブで150キロ以上二人乗りをしていると、マジで肩が終わる。なんかもう、岩・・・鉄、いや・・・メタル、そうメタルになる。
急行列車が普通列車に変わるように、肩はスムーズにメタルへと変貌した。
『この肩は、当駅をもちまして、メタル行きとなります。』
「えー!困ります!」
非常に困った。まだ工程の3分の1程度も進んでいないのに、肩が終わった。やはり冬も終わりと言えど、夜のバイクはいささか無謀だったか・・・
『しかし・・・』
「しかし?!」
『寄り道マッサージ行きへ乗り換えますと、快速特急極楽メチャ軽柔ら肩へと参ります。』
「時間ないので結構です!」
伊豆で食べたイカ(甘い)、フェリーから見える岩肌、海女さんが、「喫煙所使っていいから買え!」と半ば恐喝の様に勧めてくるほら貝。
楽しい事も苦しい事も、最後のバーベキューには全部思い出話になっていた。久しぶりに食べた牛肉は、貧乏が理由で我慢して食べる鶏肉の何倍も美味しいし、サンマは腸がいい意味で苦くてお酒が進んだ。最後はトンちゃんを米と一緒にかきこんで終了。ふぅ、お腹いっぱい!ベッドにゴローン!(ポケモンのゴローンではなく、ベッドに勢いよく横たわるオノマトペ)
「UNOしよー!」
そこから記憶がない、時計を見ると夜の23時過ぎ。部屋の電気は消され、少しだけ残った酒は喉を焼いていた。俺は果たして、UNOをして眠ったのか、UNOをせずに眠ったのか。
別に取り立ててUNOがしたい訳ではない。ただ旅行先でUNOをせずに眠るという事は、旅行先で温泉に入らないと同義・・・言い過ぎたけど、UNOはマストじゃないけど旅行を100%楽しむ為には必要なファクターでは?
暗い部屋の中、スマートフォンの明かりに青白く照らされた俺の顔を、誰かに見られたくはない。
ここら辺で締めとさせて頂く。青白く照らされながら悩むことでは無い。獲物の動き出す瞬間をじっと待つハンターのように、暗闇の中で目を開きながら朝を待つことにする。そうすれば、誰かが教えてくれるはずだから・・・