クリーニング屋でバイト中、日本語を喋れなさそうな外国人の男性と、日本人女性のカップルが来店した。
外国人男性は日本語が喋れないなりに慎ましく、女性に対応は任せていた。しかし、男性の衣類の事なので女性は男性に通訳しまくっていた。
僕は英語が全くと言っていいほどダメなので、仕方ないな。と思いそれを眺めていると、僕と一緒に入っていた女性が、僕でもリスニングできそうなぐらいのジャパニーズイングリッシュで男性に接客を始めた。
日本の英語は世界に通じるのか…僕は少しドキドキしていた。
おそらくこんな会話をしていたと思う。
店員「このダウンジャケットはモンクレールですよね。デラックスの仕上げはいかが?」
男性「それで頼む、値段は?」
店員「2倍程。」
男性「じゃあその加工を入れた値段と、入れてない値段を教えてくれ。」
店員「加工すると2000円。加工しなければ4000円ぐらいかな。」
男性「じゃあ入れないでくれ。」
店員「しかし、高級ですよ。」
男性「いや、大丈夫だ。」
店員「モンクレールはとてもいいブランドです、そしてこのダウンジャケットはとてもカッコいい。」
男性「大丈夫だ。」
店員「私は諦められない。」
男性「大丈夫。」
店員「入れますね。」
男性「ダメだ。」
僕はジャパンの接客の凄みを再確認した。ニューホライズンのハンバーガーショップ編ではこんな堂々巡りは起きていなかったはずだ。
リアルに5.6分ぐらいは問答を続けていたと思う。ようやく加工入れない。という方向で進み、会計に移った。
僕がシャツの裾をギューッと握りしめながら「トゥーサウザンド、サーティーエイト、イェン?」と体をくねらせながら言うと、外国人の男性は財布から3000円を出し、「ありがとう。」と言った。
まじで何?と僕は思った。