最近少しずつ老いを感じるようになってきた。
いつものように友達の家の玄関でタバコを吸っていたら急に屁を催した。
(ブチかましますか。)と思いながら、ドカン!と一発よろしく、尻を浮かせた僕は豪快に力んだ。
“にゅる”
「え?」
ーーーーーー半年前、僕が友達とタバコを吸っていると同じ様に屁を催した。そして屁をかまそうとした僕を残酷な運命が待っていた。
“にゅる”
「え?あぁ、うんこ漏らしたわ。」
既に何かを悟っていた僕の耳に友達の言葉が届く事はなかった。無言の僕が、風呂場でうんこパンツを洗った後にエアコンの風で乾かそうと洗濯バサミで引っ掛けると、「そこで乾かすとうんこの風が舞うだろ!」
いきものがかりみたいな言い回し!ーーーーーー
モノクロの僕が過去に戻っていた刹那の時間、僕は一切自分の肛門を確認しなかった。
なぜならそれは確認した瞬間に訪れるDEAD or ALIVE。つまり確認しなければ、まだ答えは決まっていないからだ。
言うならばそう、シュレディンガーのうんこでしかないからだ。
僕は友人の部屋に行き、事の経緯を話した。
「はっ?お前風呂入れよ!」
僕にとって風呂に入るという行為は負けを意味した。
「なら確認しろよ!」
シュレディンガーのうんこなのだ。
「何なんだよ!てかそれ植松のズボンだよな!」
僕は相方のズボンをノーパンで履いていた。
とりあえず落ち着かせてくれ、と僕が椅子に座ろうとすると友人が「おーい!」と言いながらブロッキングしてくる。
じゃあこちらのベットに、と座ろうとするとまたもやブロックされた。
「this is Chair。リラックスok?」
「NONO!!」
「This is bed。リラックスok?」
「NONO」
もう僕はどうすればいいか分からなかった。最後には結局パンツの確認を迫られた。
僕は自分一人で、確認した後の虚無感が嫌だったので、友達に確認させることにした。
「じゃあお尻かいで。」
僕が肛門をワニのようにガー!と大きく開くと、友達の気配が尻に近づいた。
スンスンスンスンッ…
ん?スンスンスンスンッ…うん。
「大丈夫だわ。」
「やったー!ッビンゴ!」
「ぴっぴっぴっぴぴっぴっぴぴっぴーぴっぴっぴぴぴっぴ!」(椅子座る)
「おーい!」(合いの手)
「ぴっぴっぴっぴぴっぴっぴぴっぴーぴっぴっぴぴぴっぴ!」(ベット座る)
「おーい!」(合いの手)
老いても尚若い者には負けん。と思った一日だった。