ヒキズる日記

ずっと引きずってます。

俺の妹

昨日はブログを書かなかった。

妹に子が生まれたのだ。非常に嬉しいニュースだ。

昨日は特に忙しい訳でもない、いつも通りの一日だったし、普通にブログを書く時間はあったのに書かなかった。

書けなかったでは無く、書かなかった。

僕は身の回りに何か出来事が起きた時は、ブログにすぐ書き出してしまうのだが、今回の妹が子を産んだ。という出来事だけは何を置いても考えに考え抜く必要があった。

そしてブログにしようかという所で本当に迷ったが、僕はおめでとうと素直に言う事が出来ない口下手なので、自分の気持ちを全部書くだけ書こうと思った。

そして妹の目に届いた暁には、改めて心に傷を付けてしまうかもしれない事を許してほしい。

僕だけが妹に対して思う気持ちがあるから、嘘偽りなくそれを書いていこうと思う。

 

当たり前のことを言うが、僕の年子の妹は僕が子供の時から一つ僕より年齢が下だった。

たかが一年だけの差はかなり小さい。

僕が中学2年生の時にクラスの窓から1年生の学生棟を見ていると、同じく窓際に座っていた妹と目があった。

それからはお互い毎日授業中に笑かし合っていた。

 

これが1年の距離だ。

双子のようにプライベートで交わる訳では無いので、お互い交えた社会を形成出来る訳でもない。

せいぜい1年生棟と2年生棟を隔てるだけの距離感は、学校に居る時にだって離れられない。

 

決して干渉もしてこない絶妙な距離で、『家での僕』と『学校で学校をやっている僕』をじっと見比べているのだ。

トイストーリーのシドのオモチャになった気分だ。

僕の学校でのキャラクターは、いつでも破壊される脆弱性を妊んでいた。

 

大人になるに連れて、妹との距離感は詰まっていった。

もうこいつに隠し事をするよりも相談しながら、色々決めていった方が生きやすいのでは無いだろうか。と思ったからだ。

思春期を妹と全て共有している兄妹も少ないだろう。

 

妹とあれもこれも話しながら人生を進んで行くと、あんまり似た所も少ないはずなのに、友達とか家族とかいう垣根を超えるまでの理解が及んで、最早我が身のように可愛く思えるまで来ていた。

妹の喜びは自分の喜び、痛みも自分の痛みに感じた。

この共有していると思い込んだ感情が間違っているとも分からずに。

 

もう、昔の事だが今も胸を抱える様な事もあった。

妹がバイト先でドジを踏んでしまったり、上手く行かない事を気にしている事を母に話した時に母が妹を病院に掛けた事があった。

結果は全くの健常という診断結果だった。

二人は胸を撫で下ろして家に帰ってきたのだが、僕だけがそれにブチギレてしまった。

 

そこでもし健常じゃないと判断されていたら、俺の妹はそれを背負い続けて行くことになったんだ。

何でそんなに残酷な事が出来るんだ。と母に向けて最悪の悪態をついてしまった。

母は妹からの相談を受けた上での完全な善意で病院に行く事を決めた事は分かる。

我が親に対してそれ程無知じゃないから。

それでも納得の行かなかった僕は、実の母に対して「あんたの育て方が間違ったから俺もこいつも出来ない奴になったんじゃないのか!」と当たった。

妹と自分を重ねて最低な批判をした。

醜悪な自分に気付く頃には、母の顔は悲しい顔に変わっていた。もう顔も見れない程に罪悪感を抱えた。

そんな事は絶対に思っていない筈なのに、口をついた言葉は吐き気を催す程汚かった。

あんなに優しいのに、見てくれているのに、気にかけてくれているのに、僕のワガママを聞いてくれたのに、勉強の機会も、考える機会も、知る機会も、見る機会も、打ち込む機会も、全部与えてくれたのにその一言で否定してしまった。

一生を掛けても償わなければならない。

あの日言った事を一生忘れないし、母も一生覚えているかもしれない。

返しのついた毒針が今も心臓に刺さったままだ。

「あれは自分を守る為についた嘘なんです。傷つけてしまって本当にごめんなさい。」と言う為に、自分で吐いたこの言葉を自分で取り消す為に、立派に生きて、「やっぱ最高の親の元に生まれた!」と母に証明する事が僕の生きる意味だ。罪深い僕にはそれしかない。

話は逸れたが、そのとき俺は妹に自分を重ねているのだと気づいた。

 

そして妹は子を授かった。

妹の妊娠を知った時は衝撃を受けて、何も考えられなくて、すぐに通話を切ったことを覚えている。

それから数日が立ちある夢を見た。

外食をする家族。

俺と兄貴がテーブルで向かい合わせになっている時に、赤ん坊がテーブルによじ登った。

ひと目でああこれは妹の子だ。と思ったその瞬間に、頭に全ての出来事が落とし込めた。

止めどなく号泣しながら起きて、情緒が次々と終える脳の整理に追いつかない。すぐに母に詳しい話を聞いた。

あまりにも泣きすぎて顔も感情も言葉も全部がむちゃくちゃになっていたと思う。

でも本当に嬉しかった。立派だと思った。

 

妹は俺と同じダメ人間だと思っていたけど、それを凌駕する人間的な魅力に溢れていた。

初めは妹に呆れてすぐ別れてしまうだろう。と思っていたが、妹の彼は「こんなに面白い女はいない。」と口癖のように言うらしい。

そんな事言ってすぐに別れる。と思っていたが、何年たっても二人は仲良しのまま。ついには結婚して子を授かった。

俺はなんて勘違いをしていたんだろうか。

妹は俺と同じ人間ではない。

自分が一番妹の魅力を分かっていたからこそ、妹の伴侶を俺も一緒に大好きになった。

本当に素晴らしい旦那に巡り会えたと思っていたが、素晴らしい旦那をトリコにしてみせたのは紛れもなく素晴らしい妹だ。

 

 

ワガママな妹がどんどんと大きくなるお腹を、自分よりも大切に扱っているのを見て尊さを見た。

段差につまずかない様に、みんなで妹を見守る姿に愛のある環境を見た。

妹を大事に思う自分を見た。

出産に立ち向かう二人の強さを見た。

 

もう全部見れた。本当にありがとう。

二人ならこれから絶対に道を間違わないと言えてしまう。プレッシャーを与えてしまうかもしれないが、二人は近年見ない信頼関係で結ばれている。

妹のダメな所を旦那が補う。

基本的に人間が二人一組で行動する理由が分かる。一人で完全に成れないから二人で補い合うんだもんな。

お前ら俺の希望すぎる。頑張れ。大好き。最高。

ずっと応援してる。三人とも生まれてきてくれてありがとう。